ドラエモンのび太のアニマルプラネット |
| ＜あらすじ＞ ４人のガキと猫型ロボットは無謀にも１つの惑星の軍隊と戦うことを決意するがオイシイ所はやはり持ってかれる。おしまい。 感動度★ 説教度★★★★ マヌケ度★★★★★ 裏切り者度★★★★★ オイシイ所は○○パトロール度★★★★★ 1990年3月10日に公開された誉高き「大長編ドラえもんシリーズの第10作」であります。さてこのアニマルプラネットは革命的な要素を多分に内包しております。つまり本作品から藤子Ｆ不二雄御大の晩年に見られる「地球大好き」「地球を守ろう」的な、あまりにド直球なメッセージ性、つまり説教臭及びカルト臭がプンプンとトイレの芳香剤のように鼻につくようになってきます。 つまり全体的に見てあまりにもメッセージ性がド直球かつ説教臭いので、アニマルプラネットは今までのドラえもん映画のようにアヒャヒャと観てる場合ではない作りになっています。しかしそれは藤子御大自身も感じておられたようで、コミックスのあとがきで「環境問題の扱いが少し露骨過ぎだったかもしれない。」とごくごくあっさりと認めておられます。 …とは言え大人だけではなく、子供でも安心して見ていられる安心設計になっているのはさすが藤子マジックといえます。 そして忘れてはならぬのが大ベテラン声優（キートン山田、田中真弓など）の存在でしょう。彼らの演技は映画全体を引き締める上で一役も二役も買っています。この「引き締まり」こそがドラえもん映画において致命的に求められている部分ですので、幸か不幸かこの映画の気が狂いそうな説教臭及びカルト臭は豪華声優陣によりおよそ５倍程度に希釈されておりますので心配いりません。 さて気になる内容ですが、のび太がいつものように初っ端から事件のフラグを立てたらあらビックリ、そこは動物の惑星でございました。 で、チッポという犬が川の激流に飲み込まれるところをあわや助けて仲良しになるんですが、蓋を開ければこのチッポどんでもないＤＱＮ犬でございました。チッポの供述曰く「台風の中でイカダに帆をつけたらどのくらいスピードが出るのか実験したかった。」とのこと。 …とりあえずこのバカ犬はケンシロウに秘孔を突かれて四散しちまえばいいと思います。  ↑人間じゃ想像もつかない愚行をあっさりやってのけます。 して、例によってドラえもん一行と動物が仲良くなるのですが、平和で美しい惑星に住む動物たちがドラえもん不在時に、何かヤバイ事になりまして、ドラえもんたちが動物を救おうとするという、なーんもヒネリもないお話なんですが、困った事に動物たちを襲ってるのが同じ動物でなくてニムゲという人間だったんですね。つまり動物と人間との間に戦争がおっぱじまるわけです。 で、ニムゲの奇襲に動物はクモの子散らしたようにあっさりパニック。気がつけばロミちゃんを人質（犬質）に取られる体たらくぶりをいかんなく発揮し、ヘタレな犬っころたちは恥じらいもなくドラえもんにヘルプを求めます。 ここで気になる点はドラえもんたちはあっさり動物たちの味方となってニムゲとバチバチ交戦するところです。個人的にはドラえもんたち（人間）はニムゲ（人間）の味方をして欲しかったのですがそうも行きません。 で、ドラえもんたちは秘密道具で応戦するのですがニムゲには歯がたたず。動物とドラえもんたちはいよいよ森に追い詰められちゃったりして「動物たちは一体どうなるのかしらん」とワクワクしていたら いきなり「宇宙パトロール」（人間）が出動してそっこーニムゲを蹴散らし逮捕。  ↑ニムゲの総長はイケメンでした。 で、「人間みんながこうだと思わないで欲しい」と動物たちに毒にもクスリにもならない捨てゼリフを残しクールに去っていきやがります。あぁ実に身も蓋もありゃしませんラストでございます。 つまり「ドラえもんたちがやったことは結局意味ねえじゃん。」といういつものパターンです。ドラえもん映画は「宇宙パトロール」のみならず「タイムパトロール」も最後の最後でオイシイところを全部持っていきやがるんですが、何とかなりませんかねこういうラスト。  ↑オイシイ所を独り占め。 何と言いますか、この類のラストは誰もが思い付きはするんだけど「それをやっちゃあオシマイよ。」的な事だと個人的に思うのです。だってラストに圧倒的な軍事力を持つ宇宙パトロールが来たらドラえもんたちのやったことは意味がなくなるじゃないですか。（例えて言うならスカラを２回かけて、バイキルトをかけた瞬間「いてつく波動」をやられる感じ。） そのタブーを敢えてレイプしてしまった藤子御大の心意気たるや良しですが、このような結果を見せられた今となっちゃあ、「ああコレって夢オチ並みにやっぱりやっちゃいけない事だったんだなぁ。」と激痛感させられる事間違いナシです。（脱力 |